「子供も大きくなったことだし、今の家を売って、もっと広い家にすみたいな、、、」
「相続で不動産を所有することになったけど、管理もできないし手放したいな、、、」
「老後に備えて、住み替えを考えるか、、、」
多くの方は、こうしたお悩みから不動産の売却を検討することが多いのではないかと思います。
しかし、その多くの方はこうも思ったのではないでしょうか。
「不動産売却って何から手を付けて、どうすればいいの?」
株式市場のように、今○○円だから売ろう!という訳にはいきません。
実際に、不動産売却の基本知識が不足であったために以下のような新たな悩みが発生してしまった話を耳にします。
- 思っていた値段よりもずっと安く売ってしまって、ローンの返済ができない…
- いつまで経っても売れない、でも税金だけはかかり続けてるのに…
- 相続した不動産で隣人トラブルが発生していたんだよぉ!
想定外の事態によって、せっかくの思い描いた明るい未来が暗くなってしまいます。
「不動産売却、知っておくべき基本!」は6つのステップに分けて掲載します。
全本コラムを通して、以下の目次で進んでいきます。
すべての記事を読み終わるころには、不動産売却に関する基礎知識を取得し、ご自身の不動産を売却するにあたって、不安なく動き出せるようになります。
STEP① 対象不動産について知り、不動産売却までの流れを把握する
a. 不動産の価値を知る
i. 不動産の価値を知る査定とは何か
ii. 対象不動産の種類を知る
iii. 対象不動産がどこのエリアに属しているか確認する
b. 不動産売却まで一連の流れ
i. 売却価格の相場を調べる(不動産の価値を知る)
ii. 不動産会社に査定を依頼する
iii. 不動産会社と媒介契約を結ぶ
iv. 不動産会社にて売却活動を行う
v. 内見に対応する
vi. 買主と売買契約を結ぶ
vii. 決済・引渡しを行う
viii. 確定申告する
STEP② 不動産業者を探し、見極める
a. 業者選びのポイント
i. 営業担当者との相性
ii. 物件のあるエリアに詳しい
iii. 売却の実績が豊富
b. オンライン業者の活用
STEP③ 不動産業者から提示される金額、条件を精査し適正なのか判断する
a. 市場相場を把握する
b. 物件の強みと弱みを把握する
c. 価格設定のポイント
d. 値下げのタイミング
STEP④ 売却活動をする
a. 物件の魅力を高める
i. 内見前にすべき準備
ii. 簡単にできる見栄えポイント
iii. 写真撮影のコツ
b. 購入希望者との交渉
i. 内見対応時に注意すべきこと
ii. 価格交渉のポイント
STEP⑤ 買主が決まったのち、契約・決済(・引渡し)に向けた手続きをする
a. 契約・決済・引渡しの流れ
b. 多発するトラブルと回避法
STEP⑥ 不動産売却によって売却益が発生したら確定申告を忘れずに!
a. 売却にかかる諸費用
b. 譲渡所得税の基本
c. 特例制度を活用する
d. 確定申告の流れ
本記事ではこの中のSTEP①「対象不動産について知り、不動産売却までの流れを把握する」について紹介します。
STEP①:対象不動産について知り、不動産売却までの流れを把握する
本記事ではどのような方法でご自身の不動産価値を知るのか、また、不動産を売却するまでの流れについてご紹介します。
a.不動産の価値を知る
一度は不動産に関するチラシや広告を目にしたことがあると思います。では、そこに書かれている物件の価格はどのように決まるのでしょう。
この章では、築年数や立地などはどのような評価を経て不動産価格に反映されるのかを説明します。
i.不動産の価値を知る査定とは何か
不動産査定とは、ご所有の不動産の適正な市場価値を算出することを指します。
不動産のプロが様々な要素(立地、築年数、面積、周辺環境など)を総合的に判断し、現在の市場で期待できる売却価格を算出します。
査定には主に「机上査定」と「訪問査定」の2種類があります。机上査定は物件を実際に見ることなく、周辺相場や物件情報から価格を算出する方法です。
一方で、訪問査定は不動産会社の担当者が実際に物件を訪問し、詳細に物件や周辺情報を調査した上で価格を提示します。
より正確な価格を知るためには、訪問査定がおすすめです。
ii.対象不動産の種類を知る
対象不動産の種類によって、売却戦略や市場性、査定価格の考え方が異なります。
主な不動産の種類には以下があります。

ご所有の不動産がどのカテゴリーに属するかを明確にすることで、適切な売却戦略を立てやすくなります。
iii.対象不動産がどこのエリアに属しているか確認する
不動産の価値は立地に大きく左右されます。
極論、人気(需要が大き)なエリアほど価値が高くなる傾向があります。そのため、ご所有の不動産がどのようなエリアに属しているかを把握し、いかにアピールポイントを見出せるのかが重要となってきます。アピールポイントを調べるうえで、確認すべき立地区分には以下があります。
・ 用途地域:住居専用地域、商業地域など(将来的な土地利用に影響)
・ 行政区分:市区町村、町名、人口など
・ 学区:近隣の小中学校区
・ ハザードマップ:水害・地震などの災害リスク
・ 公共交通機関へのアクセス:最寄り駅からの距離や利便性
・ 周辺施設:スーパー、病院、公園などの生活利便施設
エリアの特性を正確に把握することで、適切な価格設定や、物件の魅力をアピールするポイントが明確になります。
b.不動産売却までの一連の流れ
不動産売却は以下の流れで進んでいきます。

i.売却価格の相場を調べる(不動産の価値を知る)
まずは自分の物件がどれくらいの価格で売れるのか、市場相場を把握することが大切です。
市場の相場は以下の方法で簡単に調査できます。
・オンライン査定サイトの活用
・不動産情報サイトでの類似物件の価格チェック
・公示地価や相続路線価の確認
・レインズ(不動産流通標準情報システム)のデータ参照(不動産会社経由で行えます)
大まかな市場相場を把握しておくことで、ニーズの度合い、適正な売却価格の設定や、不動産会社から提示される査定額の妥当性を判断する材料となります。
※参考
三菱地所オンライン査定サイト
HOME’Sオンライン査定サイト
公示地価の確認はこちら
路線価の確認はこちら
ii.不動産会社に査定を依頼する
信頼できる不動産会社を複数選び、査定を依頼しましょう。1社だけでなく、少なくとも2社以上に依頼することをおすすめします。複数社に査定してもらうことで、以下のメリットがあります。
・より市場実態に近い価格を知ることができる
・各社の営業力や対応の違いを比較できる
・物件の強みや弱みを多角的に把握できる
査定依頼時には、土地や建物の図面等、物件に関する資料を準備して伝えておくとより正確な査定が可能になります。また、売却理由や売却完了までの期日等も併せて伝えておくと、不動産会社に成約確度が高い価格を査定してもらえる可能性が高まります。
iii.不動産会社と媒介契約を結ぶ
媒介契約とは、不動産の売買や賃貸の仲介を不動産会社に依頼する契約のことです。
査定結果を比較検討した上で、最も信頼できると感じた不動産会社と媒介契約を締結します。媒介契約には3種類あり、それぞれの違いを以下の表で説明します。
それぞれにメリット・デメリットがあるので、ご自身の状況や希望に合わせて選びましょう。契約期間は通常3か月間が一般的です。
iv.不動産会社にて売却活動を行う
媒介契約を結んだ不動産会社は、買手候補を探すため以下のような売却活動を行います。
・物件情報の整理と販売資料の作成
・写真撮影やVR内見の準備
・不動産ポータルサイトへの掲載
・チラシの作成や新聞折込
・自社ホームページでの紹介
・他の不動産会社への情報提供(レインズ登録)
・買手候補先へ直接アプローチ
ここで重要なのは、不動産会社から売却活動の状況報告を定期的に受けることです。特に一般媒介契約においては不動産会社による報告義務がないため、こまめに状況報告してくれる不動産会社を選ぶのがポイントです。反響状況や内見件数、購入検討者の反応など詳細について随時確認しましょう。
v.内見に対応する
購入希望者が実際に物件を見学する「内見」では、丁寧に対応することが重要です。より良い内見を実現するために、事前にできる限り準備をしておきましょう。
・室内の清掃と整理整頓
・不要な私物の片付け
・明るい印象を与える照明の確保
・気になる臭いの除去(ペット臭など)
・軽微な修繕の実施(障子の破れや網戸の補修など)
内見対応は通常、不動産会社の担当者が対応しますが、空室や空き家を除く多くのケースで売主も立ち会います。物件や周辺状況について詳しく説明できるよう準備しておくと良いでしょう。
vi.買主と売買契約を結ぶ
購入希望者が現れると、価格や条件の交渉を経て、売買契約締結へと進みます。
売買契約の主な流れは以下の通りです。
① 購入申込書(買付証明書または取り纏め依頼書等)の受領
② 売買条件の交渉(価格、引渡時期、特約、残置物の取扱いなど)
③ 重要事項説明の内容について確認
④ 売買契約書の締結
⑤ 手付金の受領
契約書には売買価格、物件の詳細情報、引渡し条件、違約金条項など重要な内容が記載されます。
書類の作成・説明等は不動産会社が行いますが、不明点があれば必ず質問し、内容に十分納得してから署名・捺印しましょう。
その後、水道会社やガス会社等へライフライン停止日の連絡を入れてください。
vii.決済・引渡しを行う
売買契約締結から通常1〜2ヶ月後に決済・引渡しを行います。
主な流れは以下の通りです。
① 買主による残金の支払い
② 所有権移転登記の手続き
③ 物件の引渡し(鍵の受け渡しなど)
④ 固定資産税などの精算
⑤ 抵当権抹消手続き(住宅ローンがある場合)
決済は通常、司法書士事務所や金融機関で行われます。当日は印鑑証明書や実印など、必要なものが複数点あるので注意してください。
詳しくは契約時に不動産会社から連絡があります。
viii.確定申告する
不動産売却で利益(譲渡所得)が生じた場合は、確定申告が必要です。
譲渡所得は以下の式で計算されます。
譲渡所得=売却価格-(取得費+譲渡費用)
取得費は、物件購入時の代金、購入時の諸費用、修繕・改良費を指します。
譲渡費用は、売却時の仲介手数料、印紙税、測量費用などを指します。
居住用の不動産を売却する際は、特別控除など各種特例が適用できる可能性があるため、税理士等に相談することをお勧めします。
ここまで読んでいただき、不動産売却の流れは掴んでいただけましたか?
本コラムに続き、不動産の売却についてさらに詳しく説明したコラムが続きます。
楽しみにお待ちください!