不動産売却、知っておくべき基本!③ ~不動産業者から提示される査定額を精査し適正なのか判断する~

前回のコラムでは、ご自身に合った不動産業者を探す方法をご紹介しました。そこで本コラムでは、不動産業者から提示される査定金額や売買条件を精査し、適正なのか売主ご自身で判断できるようになっていただきます。

STEP③:不動産業者から提示される査定額を精査し適正なのか判断する

通常、不動産業者と出会ってはじめに行うことの一つに物件の査定があります。もちろん売主であるご自身に損をさせようとする不動産業者はいないと信じたいところですが、なかなかそうでない現実もあります。
そこで、私たち不動産業者がどのように物件を査定しているのか、どのような観点で物件を視察しているのかをご紹介します。

a.市場相場を把握する

まず私たちは売却される物件の市場を調べ、周辺地域の相場をもとに査定額を算出します。
そのため不動産業者から提示された金額が適正かどうかを判断するためには、ご自身での市場相場の把握が欠かせません。
簡単に相場を把握する方法としては、以下の方法があります。

・実際に成約した事例の調査:不動産会社にレインズ(不動産流通機構)の成約事例を見せてもらう
・類似物件のチェック:SUUMOHOME’Sなどのポータルサイトで、同じエリアの似た条件の物件がいくらで売り出されているかを確認
・公的データの確認:公示地価や路線価、固定資産税評価額などの公的な指標を参考にする
(参考サイト:国土交通省サイト

一般的に、売り出し価格と実際の成約価格には差が生じることを念頭に置いておくとよいでしょう。

b.物件の強みと弱みを把握する

ご所有不動産の市場価値を正確に判断するためには、不動産の強みと弱みを客観的に把握することが重要です。
物件に強みがあれば相場よりも割高に、弱みがあれば割安になります。
一般的に知られている物件の強み、弱みは以下の通りです。

物件の強み

・駅からの距離や周辺商業施設へのアクセスが良い
・日当たりや眺望が良い
・リフォーム済みで内装が綺麗
・駐車場や収納スペースが充実している
・人気のエリア、人口が流入しているエリア
・土地の形状(角地や整形等)が良い
・周辺の新築等の建設状況

物件の弱み

・築年数が古い
・間取りの使い勝手が悪い
・騒音や振動の懸念がある
・前面道路が狭い、駐車しづらい
・周辺環境に問題がある(嫌悪施設の近さなど)
・共有持分や借地権など権利関係の複雑である

以上は一般的な物件の強み、弱みです。これ以外にももちろん強みとなりえる不動産の特性もあります。住まれてきた中で感じた物件の良さを営業担当者に伝えてみてください

c.価格設定のポイント

価格設定は売却成功の鍵といっても過言ではありません。以下は不動産販売において最適な価格を設定するための重要なポイントです。これらのポイントと相場を考慮しながら、担当者の方と価格を決めていくことをお勧めします。

相場に対して適正か:高すぎると問い合わせが来ず、低すぎると損をする
価格の根拠が明確か:なぜその価格なのか、根拠を説明できる設定にする
価格帯による購入層の違い:価格帯によって狙うべき購入層が変わることを理解
心理的価格設定:例えば3,980万円と4,000万円では印象が大きく異なる
値下げの余地を考慮:最初から底値では値下げ交渉の余地がない

また、ご所有物件をいつまでに売却をしたいのかによって、”売却価格”に大きく影響が出てきます。売却期間による価格設定の考え方を以下でご紹介します。

早期に売却を行いたい場合(1ヶ月~3ヶ月)
早期に売却したい場合は、市場相場よりもやや低めの価格設定が効果的です。よっぽどの好立地であれば別ですが、例えば、同じような条件の物件が2,000万円で販売されているなら、1,900万円程度の価格設定にすることで、買い手からの注目を集めやすくなります。
不動産の購入を検討している人は、通常複数の物件を比較しますので、同条件で価格が安い物件に自然と目が向きます。そのため、「早く売りたい」という希望がある場合は、多少価格を抑えめに設定することで、早期売却の可能性が高まります。
ただし、あまりにも安すぎる価格設定は「何か問題がある物件なのでは?」と不信感を抱かれることもありますので、営業担当者と相談しながら適切な価格設定をすることを強くおすすめします。

売却を急がない場合
もし売却を急がないのであれば、最初は少し高めの価格設定からスタートし、徐々に調整していく方法をおすすめします。
市場相場よりも5~10%高めの価格で販売を開始し、反応を見ながら少しずつ価格を下げていくことで、最終的に納得のいく価格で売却できる可能性が高まります。
売却を急がない場合のメリットは、「条件に合う買い手」が現れるのを待てることです。立地や日当たり、間取りなど、あなたの物件の魅力を高く評価してくれる買い手が現れるまで待つことで、思わぬ高値での売却につながることもあります。
ただし、あまりにも現実離れした高い価格設定では、内覧の機会すら得られないこともありますので、営業担当者のアドバイスを参考にしながら、適切な価格設定をすることが大切です。

不動産会社によって査定額が大きく異なる場合は、その理由を詳しく聞きましょう。単に高い査定額を提示する会社が良いわけではなく、根拠が明確で市場実態に即した価格設定ができる会社を選ぶことが重要です。

d.値下げのタイミング

価格の見直しが必要になった場合、以下のタイミングを参考にしましょう。

・反響がない場合:2〜4週間程度経過しても問い合わせがない場合
・内見後の反応が悪い場合:複数の内見があっても購入申込がない場合
・季節変動を考慮:不動産市場は3〜4月や9〜10月に活発になる傾向がある
・周辺相場の変動:エリア全体の価格動向に合わせた調整
・売却期限がある場合:住み替えや資金計画などの都合に合わせた調整

値下げ幅は通常、3〜5%程度が効果的とされていますが、状況に応じて、営業担当者と相談しながら判断することが望ましいです。小刻みな値下げを繰り返すよりも、一度に適切な幅で値下げする方が効果的なケースが多いです。


ここまで読んでいただき、ご所有不動産の適切な価格設定の方法は掴んでいただけましたか?
本コラムに続き、不動産の売却についてさらに詳しく説明したコラムが続きます。
楽しみにお待ちください!

不動産売却に関するご相談はこちらから!

目次