不動産売却、知っておくべき基本!⑤ ~買主が決まったのちの手続きについて~

前回のコラムでは、実際の売却活動の具体的な進め方をご紹介しました。続いて本コラムでは、買主が決まったのちの、契約・決済・引渡しに向けた手続きについてご紹介します。

STEP⑤:買主が決まったのちの手続きについて

a.契約・決済・引渡しの流れ

不動産売買では、買主が決まってから実際に所有権が移転するまでにいくつかの重要なステップがあります。

  1. 売買契約の締結

    ・契約内容の確認と売買契約書への署名・捺印
    ・手付金の受領(通常は売買価格の5〜10%)

  2. 決済・引渡しの準備

    決済に向けて、売主が用意しなければならない事項は主に以下となります。

    ・権利証(登記済権利証・登記識別情報通知書)
    ・印鑑証明書(発行から3ヶ月以内)
    ・固定資産税・都市計画税納付通知書
    ・実印
    ・着手金を確認できる預金通帳・キャッシュカード
    ・抵当権抹消登記申請書(抵当権を設定している場合)
    ・仲介手数料(決済時に支払うケースが一般的)
    ・公共料金(水道、ガス、電気等への手続き)
    ・その他(鍵、マンションの管理規約、建築確認済証、境界確認や測量、越境等の覚書、建築図面等の設計図書)

    もし、売却する不動産に住宅ローンの残債があり、抵当権が設定されている場合は、借入れしている金融機関に連絡して抵当権抹消に関する書類の用意が必要となります。

  3. 決済・引渡し当日

    決済日当日は、不動産会社の事務所や金融機関(銀行等)で行うのが一般的です。その際、売主・買主のほか、不動産会社の担当者や司法書士、金融機関の担当者が集まり決済手続きを行います。決済日を迎える前に、事前に当日の流れや必要書類等を入念に確認しておくと安心でしょう。

決済日当日では以下のようなやり取りが行われます。

・必要書類等の確認手続き
・残代金の受け取り
・所有権移転登記の手続き
・物件の引渡し(鍵や必要書類等の受け渡し)
・報酬の支払(仲介手数料、司法書士報酬等)

契約から決済・引渡しまでは通常1〜3ヶ月程度かかります。その間に必要な書類の準備や、住宅ローンの抵当権抹消などの手続きに向けた準備を進めていきましょう。

b.多発するトラブルと回避法

売買契約は複雑な手続きが伴うため、トラブルが起こることも。ここではよくあるトラブルとその回避法をお伝えします。

  1. 買主側のローンや融資が通らない

    不動産取引において、よく多発するケースは買主側の銀行融資が下りないケースです。買主側からしたら、気になる不動産を見つけたら先ず「買付証明書」「買受申込書」等の書類で購入の意思表明を出す事が一般的です。
    売主にとっては買手候補が出てきて嬉しい反面、本当に買ってくれるのかはこの時点では未確定となります。その為、意思表明の書類内容に住宅ローンや融資に関する事項が記載されている場合は、速やかに買主側に動いてもらい随時事前審査の状況を確認して機会損失のリスクをなるべく下げておくのが得策です。

    回避法事前審査の状況を確認する、審査結果の日程を明確にしておく。

  2. 対象物件の売買条件に関する認識の相違

    契約締結時や契約後に、買主が購入する判断をする上で、売主から重要な事項を聞いていなかった・知らなかった等で、後から知ったことで契約が破談するというケースも相応に発生します。買主が不動産業者等のプロである場合は、「契約不適合責任免責」といった条件が一般的ですが、個人の一般の方が買主となる場合はそうはいきません。対象不動産に関する知っている情報は事前に整理し、買主側に伝えておく必要があります。ビジネスの面でよく「言った言ってない」問題がこの場面では多発するため、メールや書面等に記録に残る形で相手側に伝えておく事がトラブル回避に繋がります。

    回避法:トラブルを防ぐには、契約前の段階で想定されるリスクを洗い出し、契約書や重要事項説明書等に記載することは勿論の事、事前に書面やメール等に記録できる形で明記して伝えておくことが重要です。不明点は仲介業者等の不動産の専門家に相談し、後になって「聞いていない」「知らなかった」ということがないようにしましょう。

ここまで読んでいただき、実際の売却の進め方は掴んでいただけましたか?
本コラムに続き、不動産売却後の確定申告について詳しく説明したコラムが続きます。
楽しみにお待ちください!

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